丸石クラブはこうやってできた

「丸石にめざめた日」

3、丸い石はどうしてできる?
 しかし、30分してもろくな物は見つからない。立ち止まってフーッと息を抜くと、アレッこの海岸はさっきの所より丸い石が多いな・・・。ああ、あんなに大きのがあるぞ、ムムム、これはまるでラグビーボールのようだ。思わず体が波打ち際から遠ざかる。Sも何事かと近寄って来る。するとさきほどの親切なおじさんが、
「波打ち際ですよ、波打ち際!」と注意を促す。
「はあ、どうも・・・」
 と答えて、いったん散らかしていた昼飯の後片づけをするかのように海辺から遠ざかった。
片づけながら見回すと、オヤ、まん丸い石がここにもある。波打ち際を歩く男たちを遠目に眺めていると、
「どうしてここにこんなに丸い石があるのかって不思議にならないかな」と気が付く。もともとSは地質屋なのでその岩石が何か、どうやってできたかはもちろん研究対象だが、どんな形かなどというものには関心がない。でも、どうして「こんなに丸くなるの???」
 Sは簡単にこう答えた。
「丸い石ができるのは礫浜だな。礫浜はたくさんあるよ。砂浜では大きな丸い石はないし、例えば伊豆に行っただろう、あそこには岩だけで丸い石はなかったけれど、大島ならあるよ」
「それじゃあ、どうしてきれいに丸くなる石とこうやっていびつにしかならないのとあるのかなあ?」
「さあ、どうしてかな、少し自分の頭で考えたら」
「ウウウ〜、まずはこの丸い石は花崗岩だな、花崗岩は比較的結晶が揃っていて、波に洗われた場合、均質に減るからかな? すると安山岩の丸い石があってもいいよね」
「あってもいいよ。あの辺にある石がそうかな」
「なるほどそうか。と、いうことは堆積岩の丸い石は少ないってことか」
「あってもいいかもしれないけど、少ないだろうな。どうしてかというと、堆積岩には堆積したときの面的な構造があるからさ。その面に沿って割れやすいとかね。そういう意味で言えば、変成岩もだめだろうね。火山岩でも、板状に割れる節理ができていたらだめだろうね。節理がなかったり、あっても間隔が大きいといいんだろうね」
「なあんだ、それならSの専門の火山と丸い石は大いに関係があるということか、火山岩か深成岩に丸い石になる可能性が高いわけだ」
「それに波が荒い海だな。そうでないとこんなに丸い石が多い礫浜にはならないだろうな」
「そうか、波の力、水の働きってすごいんだな」
 などと、話しは丸い石がどうやってできるかで続いた。  

(続く)

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